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第22弾 テロ事件 in New York (現地レポート) |
ロスはすっかり秋っぽくなってきました。頬を撫でる風が、もう夏のそれとは明らかに違うし、 日が沈むのも目に見えて早くなってきました。今年の夏はあまり暑くなかったので、季節の変わり
目に風邪をひく人も少ないかも知れません。気温はだんだん下がってきていますが、それに反し て、授業内容はだんだん熱を帯びてきました。課題も出されるので、いよいよ本格的に忙しくなっ
てきています。
さて、皆さんもご存じの通り、今、アメリカではNew Yorkのテロ事件で大騒ぎです。日本でも さぞかし大ニュースになっていると思いますが、マスコミとは違った角度からこの事件の報告をし
てみたいと思います。
事件発生当時、つまり11日火曜日の朝、僕はちょうど学校でバイトをしていました。N.Y.とL.A. は3時間の時差があります。僕が事件のことを知ったのは10:30am頃だったので、事件発生から
あまり時間が経っていなかったようです。その日もいつも様に試験管をゴシゴシ洗っていると、ラ ボの先生が「タケシ、コレヲミテミロ」と(もちろん英語ですが)言うので行ってみると、インターネットのニュースで1機目のジャンボがビルに激突する映像を見せてくれました。
この日は一日中ラジオがつけられていたのですが、一時もとぎれることなくこのニュースが流れ ていたので、この時にことの重大さに気づき始めました。国防省に激突した飛行機の件と墜落した
飛行機の件もこの時に知りましたし、当時は、一機がL.A.国際空港に向かっているという情報もあ り、空港をはじめ周辺の政府機関の建物などは軒並み厳重警備体制が敷かれていました。さすがに
自分の身に何かが起こるとは思いませんでしたが、大きな事件が起こっているという事実だけは感 じることが出来ました。
一週間経った現在も救出活動が続けられています。L.A.はさすがにN.Y.からは離れているので事 件の直接的な影響というのはあまりありませんでした。しかしこの一週間は、間接的に様々なこと
を感じることが出来ました。
まず、金曜日のことですが、前日(木曜日)にブッシュ大統領が国民に向けてあることを呼びか けました。つまり「今回の一件の後で犠牲者への追悼の意味と、また国民の統一意識を再確認する
ために家々で米国旗を飾って欲しい、また服装も星条旗にちなんで青・赤・白の服を選んで欲し い」というメッセージでした。そうするとどうでしょう、道を走る車は(全てではありませんが)
小さな星条旗を掲げているし、家々の窓にも星条旗、学校の先生の一人は見事に青・赤・白の服で 教室に登場するし・・・大統領の呼びかけにここまで国民が敏感に反応することに、驚きを隠せま
せんでした。「愛国心」というのを実感した瞬間でした。これを日本でやったらどうなるかな?と も考えましたが、総理がこんな発言をした瞬間、野党から「思想・信仰の自由に反する」とかいう
理由で叩かれそうだし、いったい国民のどれだけがその声に耳を傾けるかは疑問です。「ナショナ リズム」という言葉は悪いイメージが先行しますが、「国民の意識の高揚」は、今の日本に足りな
い要素ではないでしょうか?
その他にもいろいろ考えさせられましたが、そのうちの一つ。米国内では、ここ数日はイスラム 教徒にとって肩身の狭い日々の様です。友達の一人がイスラム教徒で、彼女から今日、メールをも
らったのですが「周りからくだらない野次を浴びせられた」と。全米でイスラム教徒に対する、非 難・暴行などが起きているようですが、まったく、なんて馬鹿な人が多いのでしょう。この手のテ
ロ事件はイスラム教徒のなかでも一部の過激派原理主義者の仕業に決まっているのに、どうしてそ ういう「一部」と「大多数」の一般教徒の区別が出来ないのでしょうか?どう考えても、そこら辺
を歩いているイスラム教の人が今回の事件に関わっているとは思えないのに。「坊主憎けりゃ袈裟 まで憎い」にも程があります。
このように今回の事件の後で色々と考えさせられることがありました。日本にいるだけでは伝わ らないことの一片でもお伝えできていれば幸いです。
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